FlightAwareという航空機の飛行状況を表示するシステムがある。夕刻には着陸を待つ航空機の長い列が見て取れる。リアルタイムの情報は迫力がある。
航空機の運行管理は最新の高度な技術が使われていると思われるが、位置情報を自動送信するレガシーのADS-Bというシステムもあわせて使われており、受信データが集められネットで公開されている。(国内では民間機以外には搭載の義務)
公開データは公的機関や企業・個人で広く活用されている。悪用の懸念が怖いがそのレベルの情報にはならないのだろう。
世界中の様々な場所で受信したADS-B信号が集められ、航空機事故などでは重要な位置情報となっている。個人でもこの信号を受信してFlightAware社に提供することにより航空機追跡に貢献できることを知った。
人が住んでいるエリアは受信者が多く十分な情報が得られているが、アフリカ大陸中央部・カナダ・グリーンランド などは空白エリアとなっている。日本国内ではその必要もないと思われるが、技術的な興味もあって受信機を作成して受信情報の提供を始めた。
参考にしたのはFlightAware社のこのページ、ラズパイをさわったことがあれば難しくはない。
▫️受信に必要な設備とソフトウエア
・Raspberry Pi 手持ちのRaspberry Pi3を使用
・USB-SDR受信機
1090 MHzバンドパスフィルタを内蔵し、受信性能をUPしたADS-B受信専用のUSB-SDR受信機を使用した。
・受信ソフト
OSも含め必要なソフトがパッケージさえれたPiAwareを使用
>パソコンを使用し、上記リンクよりPiAware SD card imageをダウンロード
>Raspberry Pi Imager を使ってマイクロSDカードを作成する。「カスタムOS」を選択する事によりPiAware.imgの書込みが可能になる。さらにSDカードの piaware-config.txtを編集してWi-Fi設定を行う。(有線LAN接続の場合は不要)
>完了したらマイクロSDカードをラズパイにセットし、起動。
>起動後にFlightAwareアカウントをPiAwareデバイスに関連付ける(必須)
画面が表示されない場合はラズパイと同じネットワークに接続されたPCのブラウザでラズパイに接続する。http://IPアドレス
フィードが正常に行われると、しばらくするとFlightawareサイト上部のメニューに「マイADS-B」が表示され、処理が正しくされた事が判る。
・受信アンテナと接続ケーブル
受信周波数は1090MHz、周波数が高いのでケーブルの減衰を考慮する。設置には同軸ケーブルとコネクタの知識が必要。
ラズパイ・USBーSDR受信機はやや発熱するが放熱対策もなくても7年間安定稼働している。
室内アンテナから屋外コーリニアアンテナに交換して受信エリアが拡大した。アンテナは無指向性であるが、設置場所が北東に開けたベランダの為、南西方向の受信が弱い。
たくさんの新しい知識が得られ、結果が目で確認出来るので楽しい遊びである。
↓ 羽田空港と成田空港の離発着の受信情報を表示、航空機の色は高度を表す
自作のシステムが受信した信号を直接見ることが可能

↓ 各種の受信統計情報が提供され受信システム診断が可能。画面は受信方向・距離のレポート

↓ 電源ONで自動起動し、動作確認や再起動はターミナルからのssh接続から可能
( ssh pi@IPアドレス 、パスワード:flightaware )

↓ 1090MHzコーリニアアンテナ、同軸ケーブルは8DSFA
